画像処理テレセントリックレンズ

高さ方向、水平方向全ての高精度画像計測に最適な光学系

テレセントリック光学系とは、レンズ全体で主光線が光軸に対して平行な光学デザインのことです。
画像計測では、特に物体側のテレセントリック性能が重要となり、高さ方向に凹凸があるワークを計測する際に最適です。X、Y方向のディストーションも非常に抑えられることになります。
シリコンウェハなどの鏡面体や平滑な金属のパターン、傷を観察する際には同軸落射照明を使用する事によって、安定した正反射光が得られます。

非テレセントリックレンズ

  • 小型化しやすい。
  • レンズ枚数少量。
  • ワークが上下するとワークの大きさが変化する。

両側テレセントリックレンズ

  • 物体側、像側の主光線がレンズ光軸に平行。
  • ワークが上下しても像の大きさは変化しない。(焦点深度内)
  • 大型でコスト高になる。

物体側テレセントリックレンズ

  • 物体側のみ主光線がレンズ光軸に平行。
  • 同軸落射照明に必要なシステム。
  • ワークが上下してもワークの大きさが変化しない。
  • 前玉がワークと同じ大きさを要するため低倍率の場合レンズが大きく、コストも高くなる。
  • 両側テレセントリックレンズより小型化できる。

像側テレセントリックレンズ

  • 像側のみ主光線がレンズ光軸に平行。
  • ワークが上下しても像の大きさが変化する。
  • 色ズレ補正用に本来ならビデオカメラ用のレンズは全てこのタイプが望ましい

通常レンズ

テレセントリックレンズ

高さのあるワークを観察すると通常のレンズでは側面が見えたり、同じ大きさの物でも高さが変わると大きさが変わって見えてしまいますが、テレセントリックレンズで観察を使用した場合には上図右のように解消されます。

光学倍率の求め方

ミュートロンには有限系のレンズが数多くラインアップされています。各製品の視野(FOV)とイメージフォーマットサイズの対比は光学倍率で表しており、この光学倍率が各システムで使用するレンズの選択にもっとも重要なポイントになります。

イメージフォーマットサイズ

エリアセンサー

イメージサイズ(inch) 1/4 1/3 1/2 1/1.8 2/3 2/3
(5メガ)
1 1.1 1.2
縦寸法(mm) 2.7 3.6 4.8 5.35 6.6 7.1 9.6 12.2 15.15
横寸法(mm) 3.6 4.8 6.4 7.14 8.8 8.47 12.8 12 15.15
対角寸法(mm) 4.5 6 8 8.93 11 11 16 17.4 21.4

現在工業用で使用されている代表的なセンサーサイズです。
アプリケーションの多様化にあわせ今後も様々なサイズが登場すると予想されます。

ラインセンサー

センサーサイズ(mm) 10.24 14.34 20.48 28.67 28.67 35 36 57.34 61.44
画素サイズ(μm) 10 14 10 14 7 4.7 7 7 5
画素数(pixel) 1024 1024 2048 2048 4096 7450 5150 8192 12288

画素サイズ×画素数でセンサーのサイズが決まります。CPUの高速化に呼応してセンサーの長大化が進んでいます。
センサーサイズが大きいほど、それに対応するレンズも大型化し、製造の難易度も高くなります。

光学倍率計算式

視 野

(例)レンズにカメラを取り付けた時に実際に見える範囲(寸法)の事。
光学倍率 0.5倍 イメージフォーマットサイズ1/2インチ(対角寸法8mm)の場合

垂直視野=4.8÷0.5=9.6mm/水平視野=6.4÷0.5=12.8mm

倍 率

光学倍率(M)=イメージフォーマットサイズ÷視野

電子倍率とモニター倍率

電子倍率

電子倍率はイメージセンサーで撮影した像をモニターに写し出した時の倍率です。

モニター倍率

被写体をレンズを通してモニタ画面で見た時の倍率を言います。モニター倍率(光学倍率 M)×(電子倍率)
(例)光学倍率0.5倍 イメージフォーマットサイズ1/2インチ(対角寸法8mm)モニターサイズ15インチ(1インチ=25.4mm)の場合

電子倍率 15×25.4÷8=47.6倍、モニター倍率 0.5×47.65=23.8倍

レンズの焦点距離と撮影範囲の求め方

撮影範囲の求め方

(例題)
100mの距離にある物体を、2/3型カメラにて、焦点距離(f)50mmのレンズを使用して撮像した場合、その物体の高さ(X)は、どの位のものが撮像可能か?

焦点距離の求め方

(例題)
レンズ前面より20mの距離にある高さ2mの物体を、2/3型カメラにて撮像する場合、そのレンズの焦点距離(f)はいくらか?

結像関係式

基本公式 横倍率 物点距離 像点距離

FNO/NA関係式

物体側開口数(NA)と
像側開口数(NA’)との関係
Fナンバーと有効Fナンバー
(Fe)の関係
開口数と有効Fナンバーの関係